2010年8月23日月曜日

CDショップが目指すべき姿とは

HMV渋谷閉店のニュースが大々的に取り上げられている。
非常に複雑な気持ちだ。
僕はこの数年、CDはもはや音楽パッケージをリスナーに届けるには必ずしも最適なメディアではなくなっていると痛感している。
レコードメーカーももちろんその危機感は持っているはずで、USBメモリーやDVDパッケージ、本とセットにしたCDを書店で売る、などメディアや販路をいろいろ広げる動きが出てきているのはある意味当然だと思う。
果たしてどれぐらい成功をしているのか、はきわめて微妙だけど。
ただ何もせずに手をこまねいていてはいけないから、いろいろな販路を拡大するのは当然だと思っている。

そういう状況下どこでもCDや音楽は手に入るわけで、HMVやタワーレコードのような大型CDショップの核たる部分は、実はCDを陳列して売る、ということではなく、みんなが知らない、まだ知られていない音楽を紹介する、いわば音楽の作り手と聴き手をつなぐことなんじゃないだろうか。

20年前東京に出てきたとき、僕は毎日のように渋谷のタワレコやWAVEに通った。
今思えば両方ともそれほど大きな店舗面積ではなかったけど、岐阜の田舎では絶対にお目にかかれないような輸入盤をはじめ圧倒的な商品群に夢中になった。
それからしばらくして旧HMV渋谷店がオープンし、これも夢中になったのを覚えている。
タワーやWAVEと違い店内にイベントスペースがあり、よくインストアイベントをやっていた。
ふらっと入ってみたら有名なアーティストのトークショーをやっていたりして、楽しかった。
店内も広く、マニアックなものもいろいろ購いっぺんに購入できるのがありがたかったな。

まだインターネットも無い時代だったから、CDというパッケージやライブを通してアーティストたちとつながったような、知り合ったような感覚だった。
そして今現在、インターネットにはあまたの情報や音楽があふれているが、手にとって実際に自分で体験してみてわかる良さとか、まだいっぱいあるはずだ。

HMV閉店直前にアーティストたちが立ち上がって作り上げた1日中店内でライブイベントとかを見て、たくさんの音楽ファンが集まっている姿を見て、すごく確信した。
そうだよ、まずはみんなに来てもらうところからはじめなきゃ。
CD屋はある意味、毎日音楽漬けになることができる貴重な場。しかも基本は無料で。
だから毎日がフェス!であるべきなんだ。

CDショップが目指すべきは「脱CD屋」、最初にまず”よい音楽との出会いの場所”を目指していくべきだと思う。現場ではいろいろなことが起きる。ライブやトークショーだけじゃなくて、音楽講座みたいなことをやっててもいい。その上で「あなたはこんなよい音楽をどうしたいと思いますか?」と問いかける。回りくどいかもしれないけど、音楽業界が在庫の回転率だとかいろんな効率化の中で、忘れそうになっている大事なことだ。

もちろん今はネットでいとも簡単に情報にアクセスできるしアーティストや作り手側にとってもSNSやブログなどを通して直接音楽ファンに問いかけることもできるから、そういう時代に最適な方法を見つけなければいけないけれど、まだまだやれることはある気がする。

2 件のコメント:

  1. 全くその通りだと思います。CDショップの店員さんの豊富な情報量や、情報発信地としての役割、フェスやライブハウスではできない音楽とユーザーのコネクションなど、音楽ファンにとってはかけがえのない大切な場所であると今でも信じています。
    制作者が魂を込めて作った作品を購入するという意識を我々音楽ファン一人一人がもう一度見直すべき時期に来ていると思います。
    FREEFUNKのファンより。

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  2. できんボーイなのださん
    コメントありがとうございます。
    世の中にはたくさんのモノが溢れていますが、それらの多くは今やネットで簡単に買う事が出来る時代になりました。
    でも、「コト」はそうはいかないので、もっと「出会うというコト」「いいアーティストを見つけるコト」を提供していけば、きっと存在価値はあるんじゃないかと思います。

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