2026年9月23日水曜日

映画色々

シルバーウィークはずっと雨。
元々大した予定も組んでいなかったけれど、
観たかった映画、かつて観た映画をまた観る機会があったので、
2日連続で映画館に行ってきた。

まずは劇場版イデオン。
そう、富野由悠季監督作品のあのアニメだ。
アニメ版イデオンは、当時テレビでも観たが、
結局よくわからないまま終わってしまったし、当時小学生の自分には、
理解不能だった。

監督や制作フタッフが描きたかった結末を含めた、
劇場版2部作が池袋の文芸坐で上映だったので観てきた。
「皆殺しの富野」で知られる監督だが、これは確かに壮絶な結末だった。
出演者は全員死ぬ。というか、文明として滅びていってしまう。

「イデ」の力を巡って、偶発的に対立する異星人たちの戦争が描かれるが、
2026年の現代において、人間を超えてしまったAI、核兵器開発、大国間の戦争、
憎しみを増幅する戦争被害など、まさに我々が目の当たりにしていることが、
この映画では預言的に描かれているように思えた。

子供の頃よりもずっと深刻に心に刺さる映画だった。

そして今日は、吉祥寺へ「ドラッグストア・カウボーイ」を観に行った。
日本公開が1990年の秋だったから、自分がまさに18歳の時の映画。
上京して少しずつ慣れ、映画やアート、ファッションとか色々なことに
興味が行った時期にふれた作品だ。
主役のマット・ディロンはめちゃくちゃかっこよかった印象が残っていたが、
36年ぶりにスクリーンで観たマット・ディロンはやはり最高にかっこよかった。
物語はなかなか救いようのない内容だ。
でも、その悲壮感の中に、なぜか心が惹かれてしまう。
もちろんあんなドラッグ狩りには、賛同も共感もできないのだけれど。

映画のエンディングで流れたデズモンド・デッカーの「Israelites」が、
強烈に耳に残っていた。
今でもこの曲を聴くと、この映画を観た18、19歳の頃を思い出してしまう。
そういえば、この映画は誰と観に行ったのだっけ?
一人で行ったような気が・・・。
劇中のマット・ディロンに憧れて、バイト代で貯めたお金でレザージャケットを買った記憶もある。

両方とも、時代もコンセプトも違う映画だったけれど、
まだアナログぜ作られていた時代の、生々しさ、質感を感じた。

そんなわけで、連休最後にとても良い時間を過ごすことができた。




2026年9月8日火曜日

カサンドラ・ウィルソン逝く・・・

先週、カサンドラ・ウィルソンが亡くなってしまった。
とてもショックだし悲しい。
御年70歳というから、まだそこまでの高齢ではなかったが、
ここ数年は活動を停止していたので、何か事情があったのだろう。
もう一度新作を聴いて、ライブに行きたいと常に思っていたから、
その願いも叶わなくなってしまった。

カサンドラ・ウィルソンに注目をし始めたのは90年代半ばぐらいからだった。
「New Moon Daughter」は今でも大好きなアルバムだし、
自分にとって衝撃的で、音楽的にも触発されたのが、
1999年のマイルス・デイビスの楽曲に歌をつけたりした名作
「Traveling Miles」だった。
「Time After Time」のカバーも素晴らしかったけれど、
オープニングを飾る「Run The Voodoo Down」なんかは、
まさに独自の世界観、音楽で圧倒された。
この時期はマイルスの60年代後期から70年代にかけての、
いわゆる”エレクトリック・マイルス”に夢中になっていた時期だから、
ものすごくストレートに衝撃をくらい、何度も何度も聴いた。

それ以降も素晴らしいアルバムを出すたび、音楽性やサウンド、コンセプトを
変えて刺激を与えてくれた。
でも一貫しているのは彼女の素晴らしい歌声であり、
どんな曲を演奏しても、カサンドラの曲になってしまうような、
そんな引力のある表現者だった。
ライブも頻繁に日本でやってくれていて、毎回必ずのように
ブルーノート東京に足を運んだ。
颯爽とステージにあがり、堂々たる姿で歌うカサンドラは、
まさにアフリカの女王のような神々しさと美しさを纏っていた。

カサンドラはアメリカのミシシッピ出身。
音楽性にも、彼女の歌声にもその根底には、ミシシッピの土地柄や、
ルーツが現れていたように思う。
サンハウスなどのデルタブルースのルーツの曲を歌ったのも、
そういった想いがあったのだろう。

素晴らしい音楽と歌声に、心から感謝を伝えたい。
これからもずっと、カサンドラ・ウィルソンの曲は聴き続けるつもりだ。
Rese In Peace, Cassandra Wilson...


2026年9月5日土曜日

THE ROOTS LIVE 最高のグルーヴ

キャリア30年以上となるHip Hopバンド、THE ROOTSのライブを観てきた。
彼らのデビューのタイミングから追ってきたし、注目をしてきたグループだ、
クエストラヴは今や、
音楽映画のプロデューサー、ディレクターとして優秀な作品を送り出してくれる。
しかしながら、生のライブを体験したことはこれまで無かったので、
良い機会だと思いZEPP HANEDAの単独ライブを観てきた。
とにかく素晴らしい、最高のライブだった。
根底にあるのはもちろんHip Hopなのだが、ファンクやソウル、レゲエ、
時にはロックンロールも含めて、音楽が全部繋がっていくのが彼ら流儀。
JB'sの曲や、Fatback Bandの曲なんかも、まるでサンプリングネタ、いやライブバンドとしての
最高のオマージュという形でぶち込んできてくれる。

自分からすれば、現在進行形のファンクミュージックとは、
こういうことだろう、と感じた。
クエストラヴは、決して派手なプレイをするタイプのドラマーではない。
むしろストイックに、太いグルーヴを送り出し続けるタイプのドラマーだ。
それもすごく良いと思った。
おそらく2本のマイクのうち1本はバンドメンバーへのディレクション用かと思うが、
ステージ後方、少し高い位置から客席も含めて全体を見渡し、
バンドを牽引している様子も伺えてよかった。
フロントマンのBlack Thoughtは、一瞬見た目が往年のRobert P-Nut Johnsonにも見えた。

ギターのカーク・ダグラスが「You Got Me」に繋いで見せてくれたギターソロも素晴らしく、
マイナーの曲調に載せて、ジョージ・ベンソンの「Breezin'」を差し込むあたりも、
面白かった。

この夏はDavid Byrneの最高のライブに酔いしれたばかりだが、
今回のThe Rootsのライブはそれに匹敵するぐらい、素晴らしい内容だった。