2026年9月8日火曜日

カサンドラ・ウィルソン逝く・・・

先週、カサンドラ・ウィルソンが亡くなってしまった。
とてもショックだし悲しい。
御年70歳というから、まだそこまでの高齢ではなかったが、
ここ数年は活動を停止していたので、何か事情があったのだろう。
もう一度新作を聴いて、ライブに行きたいと常に思っていたから、
その願いも叶わなくなってしまった。

カサンドラ・ウィルソンに注目をし始めたのは90年代半ばぐらいからだった。
「New Moon Daughter」は今でも大好きなアルバムだし、
自分にとって衝撃的で、音楽的にも触発されたのが、
1999年のマイルス・デイビスの楽曲に歌をつけたりした名作
「Traveling Miles」だった。
「Time After Time」のカバーも素晴らしかったけれど、
オープニングを飾る「Run The Voodoo Down」なんかは、
まさに独自の世界観、音楽で圧倒された。
この時期はマイルスの60年代後期から70年代にかけての、
いわゆる”エレクトリック・マイルス”に夢中になっていた時期だから、
ものすごくストレートに衝撃をくらい、何度も何度も聴いた。

それ以降も素晴らしいアルバムを出すたび、音楽性やサウンド、コンセプトを
変えて刺激を与えてくれた。
でも一貫しているのは彼女の素晴らしい歌声であり、
どんな曲を演奏しても、カサンドラの曲になってしまうような、
そんな引力のある表現者だった。
ライブも頻繁に日本でやってくれていて、毎回必ずのように
ブルーノート東京に足を運んだ。
颯爽とステージにあがり、堂々たる姿で歌うカサンドラは、
まさにアフリカの女王のような神々しさと美しさを纏っていた。

カサンドラはアメリカのミシシッピ出身。
音楽性にも、彼女の歌声にもその根底には、ミシシッピの土地柄や、
ルーツが現れていたように思う。
サンハウスなどのデルタブルースのルーツの曲を歌ったのも、
そういった想いがあったのだろう。

素晴らしい音楽と歌声に、心から感謝を伝えたい。
これからもずっと、カサンドラ・ウィルソンの曲は聴き続けるつもりだ。
Rese In Peace, Cassandra Wilson...


2026年9月5日土曜日

THE ROOTS LIVE 最高のグルーヴ

キャリア30年以上となるHip Hopバンド、THE ROOTSのライブを観てきた。
彼らのデビューのタイミングから追ってきたし、注目をしてきたグループだ、
クエストラヴは今や、
音楽映画のプロデューサー、ディレクターとして優秀な作品を送り出してくれる。
しかしながら、生のライブを体験したことはこれまで無かったので、
良い機会だと思いZEPP HANEDAの単独ライブを観てきた。
とにかく素晴らしい、最高のライブだった。
根底にあるのはもちろんHip Hopなのだが、ファンクやソウル、レゲエ、
時にはロックンロールも含めて、音楽が全部繋がっていくのが彼ら流儀。
JB'sの曲や、Fatback Bandの曲なんかも、まるでサンプリングネタ、いやライブバンドとしての
最高のオマージュという形でぶち込んできてくれる。

自分からすれば、現在進行形のファンクミュージックとは、
こういうことだろう、と感じた。
クエストラヴは、決して派手なプレイをするタイプのドラマーではない。
むしろストイックに、太いグルーヴを送り出し続けるタイプのドラマーだ。
それもすごく良いと思った。
おそらく2本のマイクのうち1本はバンドメンバーへのディレクション用かと思うが、
ステージ後方、少し高い位置から客席も含めて全体を見渡し、
バンドを牽引している様子も伺えてよかった。
フロントマンのBlack Thoughtは、一瞬見た目が往年のRobert P-Nut Johnsonにも見えた。

ギターのカーク・ダグラスが「You Got Me」に繋いで見せてくれたギターソロも素晴らしく、
マイナーの曲調に載せて、ジョージ・ベンソンの「Breezin'」を差し込むあたりも、
面白かった。

この夏はDavid Byrneの最高のライブに酔いしれたばかりだが、
今回のThe Rootsのライブはそれに匹敵するぐらい、素晴らしい内容だった。

2026年8月30日日曜日

FUNKNOLOGY 20周年

ちょっとタイミングが遅くなってしまったのだけど、
今年はFREEFUNKの3枚目のアルバム「FUNKNOLOGY」発売から、
20年目のタイミングだ。
バンド開始から30周年でもあるので、その事を忘れてしまっていた。

2006年は、自分自身にとっても仕事を変えたり転機となる時期だった。
FREEFUNKにとっても、このアルバムのリリースの時期の前後で、
オリジナルメンバーだった、ベースのGONZOが脱退をするという事もあり、
大きな転換期だったと思う。

このアルバムを制作開始したのは2003年の後半ぐらいからだった。
ライブで演奏を始めていた「フリーファンク・シャトル」やMei-Meちゃんが歌う
「Butterfly」なんかはレパートリーだったと思う。

アルバムに向けては、トークボックスのシュウタロウ君を迎えたタイトル曲や、
オーサカ=モノレールの中田さんを迎えた「Do Your Thing」など、
色々と新しい試みも多い。
シバケンが作曲したインストファンク曲「Move It On Funk」もこのアルバム収録だ。

アルバムの楽曲のタイトルに対する”邦題”あるいは”英語タイトル”は、
BMR編集長だった丸屋九兵衛氏につけてもらった。
これも新しい試みだったと思う。

アルバムに対しては、コンセプトノートを作成したのだが、
以下のようなコンセプトを事前に立てていた。

3rdアルバムコンセプト

■セカンドアルバム「宇宙・ファンク・愛」のコンセプト
地上はいま、イージーリスニング症候群に侵されている。工場で作られた耳障りのよい、ありきたりの音楽でもって洗脳され、自由を制限され、コントロールされている。
衛星からの観測をはかるべく、文部科学省はシャトルの打ち上げを計画したが、イージーリスニング微動により、発射出来なかった。そこで、FUNKNOLOGY (ファンク力学)に基づいた技術をもつFAR EAST FUNK MOBに依頼、彼等がそろそろ来る頃である。

■■ニューアルバム「ファンクノロジー:ファンク力学基礎編」 コンセプト

20XX年、地球科学アカデミーにおいて、歴史的な理論がFar East Funk Mob(略称FEFM)より発表された。これは有史以降の数学・物理学を根底から揺るがす大発見となった。
その理論とは、数学において1+1=2というごく当たり前の数式が、彼らの唱えるファンク力学(funknology)を元に、係数funkをかけることによって、全ての答えが「1」、すなわちひとつになるというものである。その数式は以下のように表される。
自然数n
(n + n)funk = 1
よりわかりやすく説明するならば、1+1=1に100+100すらも係数funkをかけることによって1になるということである。FEFMはこの式をさらに簡素化し、ファンク力学においては
1+1=1
とすることを提唱している。
また、上記の式を展開するならば、ファンク力学の根源的な出発点も、より明確になろう。
n + n = 1/ funk
即ち、funkの元には全てはひとつになるということである。
これはファンクノロジーの定理として根幹にある考え方といえよう。

ファンクの法則
全てのものはファンクの元にひとつである


このファンクの法則は様々な影響を及ぼした。地球を汚染しているイージーリスニングシンドロームにより、
耳の穴から穴へと強い偏西風が吹き抜け、コズミックファンク欠乏症に侵されている人々を強く勇気づけるものとなった。
やがて、ファンク力学を元にしたファンクノロジー応用理論により、地球上からのファンクサイン波動を原動力としたシャトルの打ち上げを可能とした。
現在、新世紀の宇宙旅行時代に向けた、新たなシャトルの打ち上げをめざし、ファンクサイン波動のエネルギー収集を急いでいるところである。

オープニング:
それは過去か未来か・・・。
語り部がつむぐ物語、それは宇宙の真理。あらゆるものに終わりはある。しかし宇宙のリズム=鼓動は永遠のものなのだ・・・。

フリーファンク・シャトル
ファンクノロジーの法則に基づいて設計された人類初の大型シャトル。
フリーファンク・シャトルの原動力は科学的には不可能とされる永久機関であり、乗客自身のバックビート出力によおって大気圏を脱出することができるため、乗客が多ければ多いほど脱出速度も速くなるという特性を持つ。つまりそれは飛び続けること、上昇し続けること事態が目的とも言えるのである。

イージーリスニング・シンドローム(反ファンク症候群)
耳を塞ぐことなかれ これは決して怪電波ではない これはラジオの故障でもない
世界を覆う怪しい雲行き IT'S OK 耳障り 目障り まるで体をすりぬけるニュートリノ ノーソウル
薄められたダイエットコーク、ダイエットファンク、塩分控えめ  スパイス抜き
今、世界がこの症状に侵されつつある。地球上の誰もが今、下痢気味、栄養失調。穴から穴へ、耳を通り抜け、心に穴を開けてしまう恐ろしい症状、それがイージーリスニングシンドローム。
これに支配されている限り、永遠に自由はやってこない。これに身をゆだねること、それは死に等しい。ファンクの力を持ってして、その症状を消しさろうとしている。

地球にファンク
ファンクノロジーの発見以降、民衆の間ではファンクに欠けている世界情勢を憂い、地球にもっとファンクを満たすべきだ」という気運が高まった。いわゆる「地球にファンク」運動と呼ばれるものである。
以降、フリーファンクシャトルの民間活用の一環というかたちで大気圏の外からファンクノロジー・レイを放射することになるのだが、大気に滞在しているイージーリスニング.シンドロームを排除する作業を地上からは「ファンクが舞い降りる」と表現するようになる。


ファンクノロジー
耳を塞がれコントロールされている地上を今、抜け出して果てしなく突き抜けよう
今一度覚えて欲しい。世界をファンクで満たそう。そのためにはミサイルじゃなくてシャトルを打ち上げればいい。そして皆で果てしなく遊泳しつづけよう!
ファンクノロジーを持ってすれば大気圏脱出可能 FAR EAST FUNK MOBによるファンク力学理論の実践により、今地球自身がリズムを刻み始めた 地球の廻るリズムに合わせて全ての人々よ、動き出すんだ!

アルバムカバーは2001年の1stアルバム以来の、オノデラ氏によるもので、
ジャパニーズ・ファンクという事から、日本の浮世絵に通じる世界観で作り上げてくれた。

このアルバムはP-Vineから流通をされたので、自分たちの公式ショップで販売はしていないが、
現在は主要な音楽配信サービスで聴けるので、是非聴いてもらいたい。