2020年1月21日火曜日

AI美空ひばり

昨日のサンデーソングブックで山下達郎さんの「冒涜です」の一言が
なんだか大きくニュースに取り上げられている。
AI美空ひばりの是非について、自分も思うところがいくつかある。

紅白の前にNHKが放送をした番組も観ていたのだけど、
ボカロとしてのAI美空ひばりは、なかなかの出来だと感じた。
ただ、どこか機械的というか平坦で、人間の持つ複雑な表現力には全然追いついていないとも思った。

もっと顕著だったのはCGによる動画で、これはちょっと不気味に感じた。
いわゆる「不気味の谷」の現象だろうか。
細かなちょっとした表情やしぐさの動きや、生身の人間の持つ生命力がまるで感じられなかった。

もしかしたら、歌声だけを「未発表曲だよ」と聴かされていたら、
「へえ、こんな未発表曲もあるのか」と素直に受け止めてしまったかもしれない。

間違い無いのは、こうした技術はこれからどんどん進歩を遂げて、
かなり近い将来には相当なレベルでの再現ができるようになること。
「表現」ではなく「技術」は確実に進歩を遂げる。

冗談抜きで、近い将来には「AIエルビス・プレスリー」とか「AIジョン・レノン」が作られるのかもしれない。
歌に限らず「AIホロヴィッツ」とか「AIビル・エヴァンス」などもいずれ登場するのではないだろうか。

そうなってくると、今生きているアーティストたちは、
死後の自分をAIとして”再生”させるのかどうかも、
あらかじめ生きているうちに決めなくてはいけないのかもしれない。
場合によっては、膨大な未発表曲とともに、
AIで再生され続けることを望むアーティストだっているのではないだろうか。

先のNHKの番組では、往年のファンだった年配の女性たちはみんな
「ひばりちゃんにまた会えた」と涙していた。
つまりAIに心を動かされていたということだ。

AI技術の先にはクローン技術もいずれ実用化されてくるんじゃないだろうか。
中国あたりではもうクローン人間の開発実験をやっているようなので、
それはまさに人間の一線を超えてしまったものだ。
クローン・ビートルズなんてのがいつか出てきて全世界をツアーする、なんてこともあるのかもしれない。

自分はそんなものを観たいと思わないし、自分自身もAIやクローンで残りたいと思わない。
しかし、技術の進歩や技術の転用・悪用は止められないのが事実だ。
またそれでももう一度会いたい、もう一度歌を聴きたい、と思う人たちがいるのも事実だ。






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