2024年10月6日日曜日

Electric Lady Studios

ジミ・ヘンドリクスの生涯最後の録音となる、1970年の6〜8月のエレクトリック・レディ・スタジオでの
音源を集めたコンピレーション「Electric Lady Studios : A Jimi Hendrix Visions」がリリースされた。
本当はジミの命日の頃に合わせた発売日が告知されていたが、
遅れて10月になったみたいだ。

ずっしりと重たいアナログ5枚組を購入したので、手にした時の実感はものすごい。
そしてブックレットもLPサイズで大きいので、見応えがある。
特典のブルーレイは日本語訳がないけど、これは仕方ない。

内容はというと、ジミが最後に取り組んでいた楽曲が中心で、
のちにそれは「First Rays Of The New Rising Sun」として纏められた、
幻のアルバムの完成系一歩手前の録音ということになる。

「First Rays Of The New Rising Sun」は自分にとって、
いまだに聴くたび新鮮な気持ちと発見がある、ライフタイムアルバムだ。
ジミの生前の作品ではないので、完成系ではないけれど、
驚くほどの完成度、そして新鮮さ。
未完成であるが故に、無限に広がる可能性や、未来を見出してしまう。


その点では今回のコンピレーションは、完成に至るまでの習作や、 アレンジの過程を聴かせてくれるもので、まるでジミの最後のスタジオワークに
立ち会っているかのような感覚になる。
マニアックな内容なので、ジミ・ヘンドリクスを聴きたいという人に、
最初におすすめする類ではないけれど、
どっぷりとジミに浸ってしまったひとなら、避けて通れない沼のような作品だろう。

何本もダビングして重ねられた、虹のようにカラフルなギターサウンドが、
「First Days Of The New Rising Sun」の特徴の一つだと思っているが、
このコンピの中では、ダビング一切なしの”素”の録音もある。 デモ録音だろうか、バンドメンバーにコードや展開をジミが言葉で指示しながら
演奏をしているものもある。

新たな日が昇る最初の光を捉える前の、
夜の闇の中で奮闘する、天才音楽家の限りなくレベルの高い演奏を
たっぷりと楽しめるコンピレーションだと思う。




















2024年10月2日水曜日

マーク・ボランを想う

 9月30日はT.REXのマーク・ボランの誕生日だった。
存命なら77歳。喜寿だ。
もっとも、そういった事とは無縁の30歳目前で交通事故で世を去ってしまった。
中学生のときにT.REXを聴いて以来、
ずっと夢中で聴いていた。

"20th Century Boy"のイントロのギター。あれだけで打ちのめされた。
最初に買ったCDはT.REXの「電気ノ武者」=Electric Warriorだ。

誕生日、あるいは命日の9月16日近辺だったからか、SNSにはマーク・ボランの映画やエピソードがたくさん流れてきた。



中学生の時の読んだマークの伝記本にも出てきた、
TV番組「MARC」は、今やYouTubeでしっかり見る事ができる。
その点ではいい時代になったと感じる。




番組はマークの死で打ち切られてしまうが、
長年の盟友でありライバル、デヴィッド・ボウイとの共演はとても美しく儚い。
2人とも、もうこの世にはいない。
時間切れだったのか、いいところで映像というか番組が終わってしまうのが、
ある意味マーク・ボランらしく感じてしまう。

T.REXで大好きな曲はいっぱいあるんだけど、
ちょっとマイナーかもしれないがこの曲はめちゃくちゃ聴いた。
それもタイトルどおり、10代の頃に。

”10代の夢はどうなってしまったんだ”というもの悲しいバラード。
軽快なロックンロールやブギーが代名詞だったマーク・ボランの
珠玉のバラードだと思う。
グロリア・ジョーンズと結ばれた時期だから、
ソウルミュージックの雰囲気も漂わせつつ、どこか儚げな曲だ。
儚くて、玩具のように壊れてしまいそうなのが、マーク・ボランの持ち味だと思っている。