2024年11月19日火曜日

詩人と火の鳥

谷川俊太郎さんが亡くなったとのニュースを見た。
現代を代表する詩人だった。

同世代の人だと、中学校の教科書に掲載された、
「朝のリレー」が印象深いのではないだろうか。
自分もこれが谷川俊太郎という人の名を知るきっかけだったし、
「朝をリレーする」という感覚がとても新しく思えて、
興味を持つきっかけになった。

高校生の頃は、音楽と合わせて文学にも興味を持ち、
小説を読んだり、中原中也なんかの詩を読んだりするようになっていた。
そんな中でも谷川さんは新聞や雑誌、そしてテレビでもよく見かける、
いわば日本の詩人代表という感じだった。

大学は文学部を選んだのだけど、T.S.エリオットやジョイスなど、
20世紀の現代詩、現代文学を専攻したのも、今思えば10代で出会った、
谷川さんの詩がきっかけなのかもしれない。
大学生になり、改めて谷川さんの詩集を書店で買って読んだが、
難しい言葉使いや、難解な表現はせずに、
シンプルな言葉を紡いでいくその作風がとても好きだった。

あの頃手に取った詩集は、『詩を贈ろうとすることは』とか、
『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』、
『コカコーラ・レッスン』とかだったと記憶している。
以来、詩集を何度か手にして読んだりしていた。

久々に谷川俊太郎さんの詩集を手に取り、
詩を感じたい。
不思議と家の書棚から、すぐに本が見つからないので、
週末あたりは本屋さんを巡ってみようと思う。

谷川さんの作品といえば、アニメ「鉄腕アトム」の主題歌の作詞も有名だ。
でも、敢えてここに掲載するのは、万人が知るその曲ではなく、
同じく手塚作品だが、映画「火の鳥」の主題歌。
作曲はなんとミシェル・ルグラン。

2024年11月18日月曜日

安部公房とピンク・フロイド

日曜は横浜元町まで出かけ、神奈川近代文学館で「安部公房展」を見てきた。
元町に行くのもかなり久しぶりだが、この文学館は初めての訪問だ。
少し前の新聞で、この展示企画が記事で取り上げられていて、
12月8日までの開催だというので、急いで行ってきた。

アメリカ山公園の少し先にある、眺めの良い場所にあり、
そこに行くまでの道のりもちょっとした旅行気分で楽しめた。
元町に行く前には、中華街で美味しい中華ランチも食べたので、
ここ最近あまり出来ていなかった。プチ旅行のような感覚だった。

安部公房は、大好きな作家の一人だ。
初めて読んだのは高校生か、大学生だっただろうか。
「砂の女」が最初のきっかけだったが、あまりの面白さにはまり、
文庫本を次々と買って読んだ。
今でも時々、文庫本を手に取ってパラパラと捲ることもある。

今回の展示では、安部工房の幼い頃の写真から、
作家を志した時期から、作家や戯曲家としての活躍、
そして晩年に至るまでを網羅した内容で、とても充実をしていた。

若い頃に、埴谷雄高とやりとりをしたハガキだとか、
その時代の空気まで伝わるような展示物が多く、非常におもしろかったが、
自分がなんと言っても興味を持ったのは、
安部公房が所有したシンセサイザー、そしてピンク・フロイドの音楽が好きだったということだ。

ワードプロセッサーのような新しい技術を積極的に導入していたらしいが、
シンセサイザーまで入手していたのは興味深い。
現実には無い音を作り出せるシンセサイザーに、
きっと魅力を感じたのだろう。
ピンク・フロイドも新しい時代のクラシックの要素を感じていたようだ。
ピンク・フロイドが登場した時代、60年代末から70年代には、40代後半ぐらいだったはずだが、
そうした感性の鋭さを改めて知ることができて、
非常に刺激的な展示企画だった。

改めて、安部公房の書作品を読み返したくなった。
少し前に公開されていた映画「箱男」も観れていないので、
ぜひ観ようと思う。

YouTubeを検索してみたら、こんな動画が。
見応え十分なすごい動画だ。

2024年11月12日火曜日

FREEFUNK 年内最終便

日曜はFREEFUNKの年内最後のライブ。
色々手違いというか段取り不備もあって、
例年12月に年末締めくくりライブをやってたのだけど、
今年は無し。
とても申し訳ない気持ちと、ちょっと寂しさもある。
今年はFREEFUNKでクリスマス・ソングを演奏する機会がない・・・。

ということで、来年の2月11日に渋谷nobで、
FREEFUNKの結成29周年、そして自分の53歳の誕生日という、
あまりキリの良い数字じゃないけど祝うイベントをやることに。
日曜のライブMCでも話したけど、もうこの年齢になってくると、
そろそろ、毎年の生存確認のような、そんな感じだ。

ともあれ、建国記念の日に祝ってもらうというより、
皆でまた会えることを祝いたい。

日曜のライブは、ここ何回かセットリストが固定的だったので、
少し入れ替えてみたりした。
初めて演奏をしたORITOナンバー「懺悔の気持ち」は、
とても難しい曲で、シンプルなだけにバンドのグルーヴを歌と合わせていくのが、
かなり難易度高い曲だ。
大好きな曲で、今年のORITO SOUL REVIEWでTOMMYさんが見事に歌っていたのをみて、
自分もチャレンジしたくなった曲。
また次回も演奏をしたい。

FREEFUNK
Live at Golden Egg, Shinjuku
10 NOV, 2024

SET1
01.Funkaphonic
02. Super Duper Love
03. カセットテープ
04. 陸橋
05. 大丈夫大丈夫 [ORITO]
06. 懺悔の気持ち [ORITO]
07. 中央フリーウェイ [荒井由実]
08. Nothing Compares 2 U [Prince]
09. Humming Bird Singin’

SET2
10. Midnight Jam
11. Electric Lady
12. I Just Want To Make Love To You [Cold Blood]
13. Gimme Shelter [Merry Clayton]
14. Que Sera Sera [Sly & The Family Stone]
15. Jump & Shoot
16. Not Just Hot But Spicy
17. 自由自在

2024年11月8日金曜日

Are You Glad To Be In America?

アメリカ大統領選は、拮抗しているというメディアの情報どおりとならず、
ドナルド・トランプの大勝利だった。
8年前もそんな感じで、トランプは泡沫候補のような扱いだったから、
今回もそんな気はしていたのだけど、想像以上だった。

フェイスブックで繋がっているようなアメリカの主に音楽関連の人たちや、
ブラック系のアーティストはカマラ・ハリス支持が多かったように思う。
一方で、明確にどちらを支持するのか表明しない人も多くいるようだった。
分断が叫ばれる中で、SNSなどには書かないようにしていたのかもしれない。

また、数人の友人(ネットと音楽でのつながりのみだけど)は、
かなり明確にトランプ支持を打ち出していた。
生粋の黒人系、Pファンクが大好きというような人だ。

この辺りの感覚は、日本にいるとなかなか掴めないものなのだろう。
日本は賃金が上がらず、物価高で苦しんでいるが、
アメリカ国内でもそうした状況の人や、すごいスピードのインフレに
政府の無策を感じる人もかなりいるのだと思う。

深刻なのは、大統領となる人間が国内の分断を煽り、
敵味方のように分け隔てているやり方だ。
日本にもそんな類の総理大臣がちょっと前までいたけど、
アメリカのほうはかなり深刻に感じる。

世代や職業だけじゃなく、アメリカには人種や宗教、
それに基づく価値観にしても分断のきっかけとなるから、
さらにややこしい。
でもそれは、世界の縮図でもある。

一連の大統領選とその結果を見て、
この曲が頭に浮かんだので、ここに記しておく。

James Blood Ulmer - Are You Glad To Be In America?

2024年11月5日火曜日

クインシー・ジョーンズ

アメリカ音楽界の巨匠クインシー・ジョーンズが亡くなった。
20世紀の偉大な音楽プロデューサーの1人だった。

個人的な思い出としては、
クインシーの名前を初めて耳にしたのは、
マイケル・ジャクソンの「スリラー」そして「We Are The World」での
プロデュースを担当したあたりだ。
ちょうど自分がポップスを聴くようになった時期に、
クインシーは大御所プロデューサーという扱いだった。

暫くして、ソウルやファンク、ジャズに夢中になり
クインシーの名前を再び目にした。
とりわけ、70年代のクインシー名義のアルバムは多く聴いた。

お気に入りのアルバムはいくつかあるが、
レアグルーブとしても評価が高いのが、1974年の「BODY HEAT」あたりだろうか。



翌年リリースの「MELLOW MADNESS」あたりも良い。
レオン・ウェアの歌もフィーチャーされていたり、
錚々たるメンバーが演奏を固めていて、
時代の最先端、最高峰のプレイヤーやシンガーを集めているのがすごい。



逆に、60年代以前のジャズをプレイするクインシーは、
正直あまり聴いていなかったので、
この機会にじっくりと聴いてみようと思う。

ジャンルを超え、時代を超えて素晴らしい音楽を遺してくれた、
クインシー・ジョーンズにありがとうと伝えたい。
Thank your for beautiful music, Quincy Jones.