2025年10月16日木曜日

Fly On, D'Angelo!

衝撃のニュース。
D'Angelo ディアンジェロが膵臓癌のために亡くなった。
数ヶ月前だったか、ライブ出演を体調不良でキャンセルしたという
ニュースがあったので、心配をしていたのだけど、
まさかこんなことになってしまうとは。言葉が出ないほどに衝撃だった。

自分の中でのディアンジェロは、
若きソウル・ファンクの継承者であり革新的なアーティストだった。
そして、年齢も近く、まさに”同時代を生きた”人だった。

最初にディアンジェロの音楽を聴いたのは、
1995年。彼のデビュー作「Brown Sugar」は大変な話題となり、
ラジオでもかかりまくっていた。
自分は音楽業界で働き始めた2年目で、当時働いた会社は輸入レコードの卸・販売を
メインとしていたので、勿論ディアンジェロのレコードはものすごく売れた。
Hip Hopやクラブミュージックが全盛の時代で、R&BもHip Hopの影響を受けたサウンドが
主流だったように感じていた。
その中でもディアンジェロの音楽は、勿論Hip Hopのテイストも強くはあったけれど、
どこか浮遊感のある独特のサウンドで、70年代のソウルミュージックの雰囲気を感じた。

その後数年はアルバムリリースもなかったので、正直忘れかけていたが、
2000年にリリースされた「VooDoo」は、時代を変える革命的な音楽だった。
スライの「暴動」にも通じるような、リズムの新しい捉え方を感じたし、
これは本当に新しいファンクだ、と強く感じたものだ。

その後は、断片的なリリースやゲスト参加曲はあったけど、
毎年のように「Dはアルバムを作っている、もう直ぐ出る」という
都市伝説だけが音楽雑誌や関係者の間で語られていたことを覚えている。

それから14年も経ち、突然のようにリリースされたのが「Black Messiah」だった。
「VooDoo」よりもさらにファンク度高く、独自のサウンド世界を作り上げた印象だった。
その後にまさかの来日ライブで、一度はSUMMERSONICで、二度目はパシフィコ横浜で
ライブを観ることができた。
元THE TIMEのジェシー・ジョンソンをギターに迎え、完全にファンクバンドとしての
立ち振る舞いが最高にかっこよかった。
夜空の下で聴いた「Untitled」は、今でも思い出すだけで鳥肌が立つ素晴らしい演奏だった。

同時代を生き、デビューからその最後までをも見届けてしまったことは、
良いのか悲しいことなのか、よくわからない。
多分その両方だ。

正直いってスライ・ストーンも、プリンスも。ディアンジェロもいない世界だなんて、
なんとつまらないのだと思ってしまう。
残してくれた3枚のアルバムはいずれも永遠の名盤。
これからも聴き続け、語り続けていきたい。

Fly On, D'Angelo!
Thank you for your music & creativity.

2025年10月5日日曜日

音楽映画三昧2「Becoming Led Zeppelin」

音楽映画三昧は続く。
今日は日比谷のTOHOシネマズで、「Becoming Led Zeppelin」を鑑賞。
ツェッペリン初の公式ドキュメンタリー映画で、
いかにこのバンドが生まれたのかを解き明かす内容だった。
語りは全てメンバー本人のみ。
関係者の証言だとか、そういうものは一切なし。
すでに亡くなっているジョン・ボーナムも生前の貴重なインタビューを
使用していて、話の流れはまるで一緒に語っているかのように自然だった。
ということで、完成度がとても高く、
素晴らしい音楽映画だった。
観たことのない貴重な映像が素晴らしいクオリティと音質で迫ってくる。
IMAXで鑑賞したこともあり、没入感が半端なく、
途中でダレる部分が全くなかった。

今ならAIやなんかで復元や創作できてしまうものもあるだろうが、
AIには頼らなかったというのも素晴らしい。

内容的には、ジミー・ペイジがいかにこのバンドを最高のロックバンドとして
成功させようとしていたのか、すごく計算していたことが理解できた。
ジョン・ポール・ジョーンズも、ロバート・プラントも、
率直に当時のことを話しているのも印象的だった。

映画はツェッペリンのデビューが大成功となり躍進を初めて行くところで終わる。
これはもしかすると、いずれ続編もあるのではと思った。
是非期待したいところだ。

明日からしばらくZEP三昧となりそうな予感。