「女王」なんて軽々しく使うな、
なんて怒られるかもしれないけど
カサンドラ・ウィルソンのライブを見ると
ついついその称号で呼びたくなる。
ジャズの女王、といえば
ビリー・ホリディとか
エラ・フィッツジェラルドとか
サラ・ヴォーンとか?
何故にカサンドラを「現代の女王」と呼びたくなるのか。
ライブを観ながら考えていた。
堂々としたステージングとか、
女性にしては低い音域とか....
色々あるけれど、
今回ライブを観て改めて思ったのは、
歌のみならず演奏に対しても
カサンドラの徹底した世界観が行き渡っていて
彼女があたかもステージ上で「君臨」をしているから、ということ。
ジャズの歴史は深くて面白い。
カサンドラがここ数年挑戦しているのは、
ジャズがまだジャズと呼ばれる、ずっとずっと前の
カントリーブルースの世界を現代に召還することだ。
単なる懐古主義ではなく、
あくまで現在の音楽として
ミシシッピ・デルタ発祥のブルースが今そこにある。
今回のライブではハーモニカ、マンドリンやフィドルといった
初期のブルーズやカントリーにはよく出てくる楽器が
たいへん活躍をしていた。
カサンドラも最後のほうでギターを弾いてくれたが、
彼女が手にしたのがフェンダー・テレキャスターというのも
いかにもで面白かった。
堂々たるライブ、あっという間の80分。
これからいっそう彼女の音楽が深いところに向かい、
新たな境地に至るのかと思うと、
ちょっと興奮してきてしまった。
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